ニュースタイトル

カネヒロがお届けする、旬のニュースです。

【2003年】

カネヒロニュース/12月号
 11月末に終了したアキサケ漁は根室管内においては豊漁だったものの、水揚げ金額はサンマ漁と同様に魚価安の結果でした。漁業において魚価安は死活問題であり、今年の価格問題を受け生産調整などの需要と供給のバランス維持が改めて来季の漁業調整に大きな課題を残しました。また、来年のサンマ漁において、道連合海区漁業調整委員会は今年の約15%減の漁獲基本計画を立てるなど、価格対策を検討し始めている様です。
 現在、前浜で水揚げされている北海道の冬の代表的な魚であるマダラは延縄、底曳網漁等、微々たる漁獲枠の中での操業で実際、先の見えない水揚げが続いています。そのため浜値も比較的高値で推移し、各社は原魚確保に追われています。たらこの加工に用いられるスケソウダラの水揚げもこれからが最盛期を迎えます。輸入物が主力の中、貴重な前浜原卵にこだわる業者は北海道内を東奔西走し、本格的な冬の訪れを迎えます。

カネヒロニュース「つり情報」
 12月に入ってからも比較的暖かで穏やかな天候が続いており、11月末現在、道内での降雪量も過去2番目に少ないという状況です。
 エゾシカ猟の途中、山間部の林道付近を流れる支流で竿を出してみるものの、魚の反応はほとんどなく11月にあれほどいたアメマスは中、下流に下った様子で本格的な冬ごもりが始まっています。
 この時期、根室、花咲港では北海道でも珍しい巨大チカが釣れることで有名です。通常15cm前後が標準サイズとされていますが、花咲港のチカは20〜30cmと桁外れに大きく、釣りファンは連日、寒風の中竿を出しています。ロシア海域のものが回遊してきているという説がありますがその原因は明らかにされていません。釣り方はサビキ釣りで10本前後針の付いたものを使用しています。
 12月末には湖沼、河川共、完全に氷結し冬のレジャーの代表格、ワカサギ釣りがシーズンに入りますが過去2年の不漁続きで今年の釣果もあまり期待できないと予想されています。
2003.12.3

カネヒロニュース/11月号
 浜風が1日ごとに冷たくなり、北海道各地で初霜や初氷が観測され、冬の到来が間近にせまっています。今年もサンマ水揚げ量日本一となる根室花咲港には11月1日現在もサンマの水揚げが続いています。”豊漁で価格暴落のサンマ漁”という結果になりましたが、地域経済の面においては不安をかかえながらも秋期の漁が無事終了し、来年につなげる活動目標等もかかげられる事でしょう。これからマダラ漁を行う漁船はサンマ漁を切り上げ、冬の漁の準備に取りかかります。
 サンマと共に豊漁の年となったアキサケの定置網漁は10月下旬以降、水揚げが少なくなり、価格面に関しては上げの傾向にあるものの、例年に比べ安値で取引きされています。太平洋側で水揚げされているアキサケは、銀毛が大型魚でメジカ系のきれいな魚となり、完全に終期の群れが来遊しています。以後2週間が来遊のめどとされており、それ以降は完全に水揚げがなくなると予想されています。11月末までが漁期で各社、ギフト等年末商戦で使用されるいくら、すじ子等の魚卵製品の製造に最後の追い込みをかけています。

カネヒロニュース「つり情報」
 紅葉もピークを過ぎ、山間部の支流で行われていたアキサケ、アメマス等の産卵も終了し、河川を取り巻く空間は穏やかに時間が流れています。
 この時期、河川が氷結するまでのラストチャンスとして中流域でのイトウやアメマス等を狙う釣人がいる程度でほとんど釣果が聞かれません。しかも河川には大量の落葉が流れているため、非常に釣りづらくなっています。上流域では産卵された卵を狙って小型のイワナやヤマメが集まっており、越冬のための脂肪を蓄えています。氷上のワカサギ釣りが始まるまでは防波堤でのコマイ釣りがある程度です。
 北海道では、カモ類やエゾシカ等のハンティングが解禁されており、野山には銃声が響き、いよいよ本格的な冬が訪れます。
2003.11.4

カネヒロニュース/10月号
 根室の街を賑わした”根室サンマ祭り”も終了し、本格的な秋を迎えています。9月末現在、昨年の約3割増と好調な水揚げを続けている道東沖のサンマ棒受け網漁は終盤を迎えようとしています。漁場は釧路からえりもを中心とし、漁獲されるサンマも中型魚・小型魚が多く、南下のスピードが速まっています。前浜で漁獲されるサンマはさらに小型魚の割合が増加しています。
 8月末から安定した漁を続けているアキサケの定置網漁は、これから水温の低下と共に魚卵の質も良くなってきます。しかし、ここ5年程前から銀毛の漁獲を目的とした前期集中型の稚魚放流を行っているため、10月以降の漁獲量は減少傾向と予想されています。漁獲されるアキサケの魚体も若干、小さくなっており、第2陣の魚群が到来したと思われます。漁は11月末まで続き、イクラ等の製造が本格化します。

カネヒロニュース「つり情報」
 昼夜の気温差が大きくなり、山々は紅葉で色づき始めています。また、シベリアなどからはカモや白鳥が北海道に飛来し、野鳥の飛来地で有名な風蓮湖には多数のカモ類が見受けられます。
 道東ではカラフトマスの遡上が一段落し、賑わいをみせていた海岸は息を潜めています。アキサケの遡上もピークを過ぎ、秋の原野でのイトウ釣りのシーズンを迎えています。
 今年の春は風蓮川で比較的多くのイトウが釣り上げられているため、釣りファンの期待を集めています。ここ数年、アキサケの豊漁と魚価低迷のため、河口付近の捕獲場でアキサケの遡上を妨げる”止め”を入れる期間が短くなったため、降海するイトウが増加し、人為的抑制による生息環境が緩和されていると考えられています。しかし、水質等においては年々悪化の状態が続いており、河畔林の減少により、土砂が河川に流れ込み水深も年々浅くなっている状況です。
 道東で細々と生息しているネイティブなイトウは、こういった河川に与える総合的な影響に今後が左右されています。
2003.10.1

カネヒロニュース/9月号
8月下旬以降、大型船の参入により道東沖のサンマ棒受け網漁は最盛期を迎えており連日、道東の各港で水揚げされています。漁獲されるサンマの組成は食用向けの大型魚が中心で供給過剰の状況となっています。浜値もシーズン当初からキロ当たり100円を下回り、安値で取引きされています。その背景には、昨年の本冷や一汐サンマの在庫過多、大型魚中心の水揚げなどが挙げられます。そのため、9月1日から7日までの期間水揚げ後24時間の休漁を行うことが決定しています。今後の水揚げ量や漁場形成などは9月上旬の海水温度によって左右されると言われています。道東沖では8月下旬までの海水温度は例年より低く推移しています。
アキサケの定置網漁は9月に入り、道内各地で解禁されており水揚げが始まっています。今年のアキサケ漁は豊漁が期待されており、魚体も4キロを越える大型魚が中心となっています。オスメスの割合は6対4となっており今のところ、オスの水揚げが多くなっています。これから秋の深まりと共に筋子やいくらの製造が本格化し北海道の秋の味覚が食卓に届けられます。

カネヒロニュース「つり情報」
北海道の山々では早くも紅葉が見え始め、秋の到来が感じられます。オショロコマやヤマメで賑わいを見せた渓流域は10月の産卵期に備えて最上流域にその姿を潜め始めており、渓流釣りのシーズンは終了の時期を迎えています。
この時期、道東の各河川のサケ、マスの遡上がピークを迎えており、中、下流域では禁漁になっている所も少なくありません。そんななかで唯一釣りのできる上流域では、ニジマスの釣果が聞かれます。秋のニジマスはコンディションが良く、人気のある魚です。しかし、河川林は繁茂している状態で徒歩での入釣は容易でなく、カヌーを利用した釣りが効率的です。主にルアーを使用した釣りがメインとなります。
忠類川に代表されるライセンス制度を取り入れている河川では、サケ、マスの調査捕獲が始まっています。一時のブームはなくなりましたが、公的に河川でサケ、マスを釣ることのできる貴重な試みです。捕獲状況は1人あたり2〜3尾程度と報告されています。10月末まで行われ、本州からも多数の釣りファンが北海道を訪れます。
2003.9.1


カネヒロニュース/8月号
6月上旬から操業が行われていたロシア200海里水域内でのサケ、マス漁は釧路市場での1隻を最後に本年度の漁は終漁しました。操業条件をめぐって難航したロシア側との民間交渉の結果、出漁の遅れや一部、大型船団体の出漁を断念する事態もありましたが、ベニサケ等全般的な魚価高に支えられ、大型船、19トン船共に漁獲割当量をほぼ消化しました。買受人側では産地高の消費地安の結果となり、今後、安定した対ロシア交渉と数量の確保が大きな課題となってくるでしょう。
7月8日に解禁された道東太平洋におけるさんま流し網漁は7月中旬以降、豊漁が続いています。魚体のサイズは160〜150グラムが中心組成となっており、7月下旬には浜値も値くずれが生じ始め、コンブ漁を兼業する船は、切り換えの時期を迎えています。
さんま棒受け網漁は7月19日に5トン未満船、7月26日に10トン未満船がそれぞれ解禁となっています。解禁当初はジャミさんまが主体でしたが、10トン未満船の参入により、流し網漁と同等サイズのさんまが水揚げされています。8月に入ってからはロシア海域での操業が可能で、今後、さんま漁は船型に応じて、順次解禁され、本格的な盛漁期を迎えます。

カネヒロニュース「つり情報」
今年の北海道は例年にない冷夏で夏とは思えない気候が続いています。そのため、山間部の源流では、水温が低く、水生昆虫のう化率も低下し、ヤマメやオショロコマ等の釣果が良くありません。釣れる魚のサイズも小型魚が中心で8月以降の天候回復は期待を寄せています。
道北のオホーツク海や知床半島周辺の沿岸ではカラフトマスの釣果がきかれ始めました。この時期の魚は銀毛がほとんどで日の出と共にポイントとなる沿岸や河口付近には大勢の釣人が押し寄せます。ルアー、フライ、紅染イカを使用した流し浮釣り等、色々な釣り方で狙う事ができるのも人気の要因です。
北海道では春のサクラマスと共にカラフトマスも密漁問題をかかえている魚で魚体から筋子を取り出し、魚体はその場で放置する場面が幾度となく見受けられます。
具体的な解決策がないまま、毎年この時期を迎えており、沿岸漁業権及び漁業法の質の改善が急がれています。
2003.8.4

カネヒロニュース/7月号
6月上旬に出漁したロシア200海里内サケ、マス漁の大型船が6月末から7月上旬にかけて花咲港に帰港し、ベニザケを主体とした水揚げを行っています。操業水域は1区(東カムチャッカ)で1船当り約50トンのベニザケが漁獲されています。出漁船数の減少から水揚げ数量が減少し、1区のベニザケの初セリではキロ当り2,000円を上回る高値で取扱われています。例年と比較して出漁時期が遅れた分、魚の質は全体的に並のものがほとんどで2航海目の魚はさらに質が落ちると予想されます。そのためベニザケを取り扱う業者は7月上旬に水揚げされる魚に期待を寄せています。また、道鮭連の船団は2区、2A区でのトキシラズを主体とした操業を終え、3Aでのベニザケを主体とした操業を行っています。高値で推移したトキシラズに続き、ベニザケにも期待が寄せられています。
日本200海里内操業の以西船は7月上旬に漁期を終え、7月中旬以降の棒受けサンマ漁に向けて準備が行われます。7月上旬から道東各地で刺網サンマ漁が行われ、道東に初夏の味覚が水揚げされます。

カネヒロニュース「つり情報」
道東のヤマメ釣りが7月1日に解禁され、渓流ファンには待望の季節が訪れました。しかし、山岳地域の雪解けが遅かった分、知床半島周辺の各河川の水温は5℃前後と低く、この時期としては非常に珍しい状況になっています。そのため水量の多い中流域には魚が付いておらず、源流域やその支流域に多くの魚が集まっています。“エルクヘヤーカディス”と呼ばれるシカの毛を使用したドライフライの釣りでオショロコマを主体に2割程度のヤマメが混じる釣果が期待できます。最近では放流されたニジマスもかなり釣れるようになり、在米種のオショロコマの生息域に影響を与えています。主な釣場となる源流域ではヒグマの生息域でもあり、無理な深追いや単独での釣行はなるべく控えた方が無難です。
今年の状況では、7月下旬から8月上旬頃が最盛期と予想され、比較的長期間夏山での釣りが可能となるでしょう。
2003.7.1

カネヒロニュース/6月号
本土、最東端の根室にもようやく桜が咲きみだれ、本格的な北国の遅い春を迎えています。
5月から操業を続けている日本200海里内、サケ・マス流し網漁は依然不漁続きで、浜値は例年の倍にまで跳ね上がっています。これにより、前浜トキシラズの取り扱いが困難になり、取り組みを断念する業者も少なくありません。一方、同時に水揚げされる、カラフトマスはマス年で漁模様が比較的良く、安値で取り引きされています。水揚げされている魚は大型魚が多く、セッパリと呼ばれる背が盛り上がっている魚体も見られるようになり、漁も最盛期を迎えています。
入漁料等でロシア側と交渉を続けてきた、ロシア200海里内のサケ・マス流し網漁は、全鮭連のみがその内容を受け入れ、6月上旬には出漁可能で、単価の高いベニザケを漁獲する漁場へ出漁します。日鮭連もこれに続き、出漁を予定しています。また、19トン船団の道鮭連も最後まで粘り強い交渉を続けており、採算ラインの操業を目指し、ロシア側と協議しています。根室を代表する北洋サケ・マス漁業がこの様な状況で衰退して行けば、地元の地域経済は大打撃を受けることになります。

カネヒロニュース「つり情報」
根釧原野は、緑が色づき始め、山々も春らしい景色になってきました。6月、最も日の出が早い根室では午前の3:30頃には日の出を迎え、釣人には長時間竿を振る事ができる、最高のシーズンを迎えています。
北海道の各河川では、サクラマスの遡上がピークを迎えており、河川での捕獲が禁止の魚が公然と密漁されています。道東で特に有名な標津川では、マスコミ、報道等を利用し、密漁対策に取り組んでいます。実際に、現場で撮影しての報道で現行犯という例も少なくないようです。この様な動きの中、道北の湧別川では、サクラマスをライセンス制によって解禁する案が市で具体化されようとしていますが、遡上する資源量の把握が難しく、また、漁業者との対立もあり、困難を極めています。サクラマスという魚をめぐって、北海道では法の改正が求められています。
5月中旬から下旬にかけて、幻の魚とされるイトウが根室の風蓮川で比較的多くの釣果がありました。実際に釣り上げたイトウは、67cm、37cmの2尾、その他知人等の報告も含めると10数尾のチャンスがありました。最大で80cm級どまりですが、近年にない状況です。風蓮川のイトウは比較的泥臭くなく、身はオレンジ色、ルイベ等で食べると美味とされていますが、資源保護のため、リリースが求められています。
2003.6.3

カネヒロニュース/5月号
 日本最東端の根室もようやく暖かな風を感じる様になり本格的な春の気配が訪れています。4月下旬、道東の広尾や釧路から出漁し操業を開始した日本200海里水域内サケ・マス流し網漁は1航海目を終え、北海道に春の香りを初水揚げしています。
 水揚げされたトキシラズは魚体が小さく、2キロを下回るものが中心で漁模様も不漁でのスタートをきっています。浜値の方は、漁獲が少ない分、高値で取引きされており、キロ当たり1,300円前後と紅鮭並みの価格となっています。2〜3航海目までには、浜値が落ちつきを見せ始めると予想されています。
 根室の花咲、歯舞、落石各港からは5月1日に出漁しており、ゴールデンウィーク明けの初水揚げを予定していましたが、前浜の海水温が低く不漁で漁場も比較的遠いため、1航海の周期が長くなっており、5月6日現在根室には初水揚げのたよりは届いていません。5月10日頃までには根室でも新物トキシラズに、おめにかかれることでしょう。また5月中旬から下旬にかけては、ロシア200海里水域内で操業する19トン船の出漁が控えており、今後の水揚げ状況が期待されています。

カネヒロニュース「つり情報」
 4月中旬に氷が落ちた各河川には、連日釣人が訪れ春の原野でアメマス、ヤマメ、イトウなどの釣りを楽しんでいます。根室近辺で有名な河川として挙げられる風蓮川や別当賀川等は、例年に比べ水量が多く、若干の濁りも入っていますが釣りには大きな影響はない状況です。しかし水温の方が2〜3度と低く、早朝の釣りよりも完全に太陽が昇ってからの方が良い釣果が聞かれています。アメマスは30センチ前後を中心にコンスタントな釣果があり、時折50センチクラスも混じります。道東では5月から禁漁になりましたが、各河川の支流におけるヤマメ釣りが好調でかなりの釣果がありました。7月には再び解禁となり夏の渓流を楽しませてくれる事でしょう。幻とされるイトウは年々釣果が聞かれなくなっています。仲間内では今年の春、40センチクラスが1尾風蓮川にて釣り上げられたのみで大きな話題は浮上していません。ちなみにスプーンによるルアー釣りでの釣果でした。例年では5月上旬に遡上するサクラマスも水温が低いためかまとまった遡上時期が遅れており、5月下旬頃の大量遡上が期待されています。
 河川と同様に野山の様子も例年に比べ緑が少なく、山菜等の時期も1週間以上遅れている状況です。根室の野山では5月上旬にはギョウジャニンニクのみが採取されている程度で、日本で一番遅いサクラの開花が予想されている5月下旬頃にはコゴミやタラの芽といった代表的な山菜も採取できる事でしょう。
2003.5.6

カネヒロニュース/4月号
PH
4月3日撮影

 道内各地で海明けが報じられており、長い冬にも終止符が打たれようとしています。オホーツク海に面した根室の前浜には数百mにわたり流氷の砕け氷が残っているものの、ほとんどが姿を消しつつあります。
 3月下旬から日本200海里水域内におけるサケ・マス漁の操業条件を決める会議がロシア側と行われています。昨年の操業では5月1日解禁を前倒しの4月15日解禁となり、一部の船団が出漁しました。この小型サケ・マス漁は、漁獲不振や価格形成など厳しい環境から今年は昨年を上回る休漁が予測されています。
昨年の漁獲可能量は4,100トンで魚種別ではカラフトマスが3,740トン、シロサケが360トンという内訳で合意されましたが現在の所、操業において、最も課題となる漁業協力費及び漁獲割当量など、具体的な発表はされておらず、今後の動向が注目されています。

カネヒロニュース「つり情報」
 ようやく日中の気温が氷点下という事がなくなり春らしい日ざしを感じる様になりました。今年は例年より川開きが遅く、4月1日現在、根室の各河川は一部の水面が顔を見せているのみでほとんどが氷に閉ざされています。川岸には腰の位置まで積雪があり、スキーやかんじき等の使用なしでは移動が困難な状況です。本格的なシーズンインは4月中旬と考えた方が良いでしょう。
 それでも、各河川の支流域では、比較的釣りが可能でヤマメの新子釣りが楽しめます。1年魚が中心でイクラ等の餌を使用したミャク釣りが主流です。
この新子釣りは、サクラマスの資源保護として懸念されていますが天ぷら等の食材として珍重され、早春の味覚として人気があります。ポイントに当たれば数百匹前後の釣果がありますが資源保全のため釣人の節度が問われます。また4月中旬から下旬にかけて、サケ・マス稚魚の放流が行われ、アメマスの大群が押し寄せる時期となり釣りファンにとっては、本格的な春の到来となります。
2003.4.2

カネヒロニュース/3月号
PH
3月20日撮影

 2月中旬から根室に接岸している流氷は、3月に入ってからも依然として姿を消す気配がなく、厳しい寒さが続いています。そんな中で、前浜では限られた魚種が水揚げされている程度で年間を通してもっとも水揚げ量が少ない時期になっています。現在、主として行われている漁にはマダラを中心とした前浜での刺網漁、風蓮湖や温根沼や周辺前浜で氷に穴をあけ、網を仕掛ける氷下待ち網漁、それに納沙布岬までの半島の汽水湖で氷を割り、腰まで海に入ってくま手を使用し捕獲するアサリの手掘り漁など北の海ならではの独特な漁が行われています。主に鮮魚、一夜干乾物として利用されるコマイは冬期根室沿岸に来遊し重要な水産資源とされています。今年から市の対策でコマイの資源増大を目的とした人工採卵による孵化放流事業に着手しており、前浜資源の管理、増大に取り組んでいます。
 また5月から7月にかけて行われるロシア200海里水域内サケ・マス漁の操業条件についてロシア側との政府間交渉が三月下旬に予定されており、それに共ない民間交渉の検討委員会が既に動き始めている状況で根室にも春の訪れは間近にせまっています。

カネヒロニュース「つり情報」
 河川等内水面の結氷だけでなく前浜までもが流氷に閉ざされ、水面を見る事ができないこの時期、氷に穴をあけて釣糸を垂れる氷上釣りの釣魚としてワカサギの他にチカ・コマイ・アメマス・ニジマス・サクラマスなどが挙げられます。その内の一種、コマイが遠浅の前浜での穴釣りで釣果が聞かれています。潮込み時を狙い、釣果は良い人で数キロ単位期待できます。
釣り方はワカサギと同様でエサはイソメ等が使用されています。
 河川の釣りは、毎年3月中旬から下旬にかけて氷が落ち濁りが出始める1週間以内の期間、比較的多くアメマス等の釣果がきかれます。今年の冬は降雪量が多かったため、雪どけの河川の水量は多いと推測され、多くのポイントが形成される可能性があります。隣町の中標津では既に春の到来を告げる福寿草の黄色い花が開花しており、春の足音は北海道でも一番春の訪れの遅い根室地方にもとどいている様です。
2003.3.5

「凍る海・オホーツク」
北海道大学低温科学研究所
流氷研究施設長 青田 昌秋
 青い海原がわずか数カ月の間に白い大陸に変わる。凍る海は、地球上で最もドラマティックな自然の変化を見せてくれます。荒れ狂いながら凍っていく初冬の氷海、静粛の氷野、紺青の海に純白の流氷群、海明け・ ・ ・ ・。厳しさ、静けさ、明るさと移り変わる氷海の姿、これが流氷の世界です。
 流氷は私たち人類といかなる関わりをもつのでしょうか。人びとと流氷の身近な関わりと地球規模でみた流氷の役割について考えてみましょう。

1.流氷の功罪
 我国の周りで凍るのはオホーツク海だけです。冬になると北海道のオホーツク海沿岸は凍り始めます。沖合いの発達した流氷も押し寄せて、漁もできなくなります。小さな漁船は陸に揚げられて海明けの春を待ちます。大きな漁船は日本海や太平洋に出稼ぎにいきます。流氷は漁民から仕事を奪ってしまうのです。
 流氷は船舶の航行を妨げます。流氷に激突されて漁船が沈没したこともあります。沿岸では、重なりあった流氷が海底をこすってコンブやウニ、ツブ貝を全滅させたり、ホタテの養殖施設を破壊してしまうこともあります。流氷は漁民にとってはとんでもない邪魔ものなのです。
 悪い面ばかりではありません。海が凍ると波は消えてしまいます。流氷が波のエネルギーを吸収するからです。流氷は自然の浮き防波堤となって波浪による海岸の破壊を防いでくれます。
 波しぶきが付着すると樹木も野菜も枯れてしまいます。鉄塔やアンテナを腐食させたりします。塩害です。流氷は風波を抑えて、畑や森林を塩害から守っているのです。
 コンブなどの有益な海草を育てるためには、海の雑草とり?磯掃除?が大切です。流氷がやってこない日本海や太平洋の漁民は、この磯掃除に大変苦労します。オホーツク海では、幸い流氷が磯掃除の大役をやってくれます。
 流氷は漁民から冬の仕事を奪いますが、反面、これが無計画な乱獲からオホーツク海の水産資源を守ってきたとも言えるのです。
 オホーツク海の浜辺の人びとは、このように功罪両面をもつ流氷とともに暮らしているのです。

2.流氷と地球環境
 身近な流氷の功罪から視角を地球規模に広げてみましょう。地球表面の70%は海です。その海の約10%が凍る海です。流氷は地球の環境とどのように関わっているのでしょうか。

 流氷と大気の流れ 青い海は、降り注ぐ太陽エネルギーのほとんどを吸収し温まり、これに接した気温も上昇します。もし海が凍り白い氷野に変わると、太陽エネルギーの80%を宇宙空間に反射してしまい極地の寒気が強まります。流氷は太陽熱の反射板なのです。
 極地の寒気がいかに厳しくても、流氷の下には常に気温よりもはるかに暖かい海水があります。流氷の隙間、すなわち、開水面では大量の熱が海洋から大気に流れて寒気を和らげます。しかし流氷が海を覆うと、海水から大気への熱の流れが妨げられ、寒気は厳しさを増していきます。
 流氷は断熱材でできた海のフタなのです。
 夏になると、太陽の光は強くなり流氷は溶け始めます。しかし太陽熱は流氷を溶かすためだけに費やされ(融解熱)、海水を温めるには至りません。海水が冷たいままなので気温も上がりません。
 流氷は極地を寒冷に保つ役割をしているのです。
 極地で生まれた冷たい空気は、赤道へ運ばれ熱帯の暑さを和らげます。一方、熱帯の温かい空気は極に向かって流れ、寒気を和らげてくれるのです。これが大気の大循環です。大気を循環させるベルトコンベアの駆動力は、赤道(熱源)と極地(冷源)の温度差から生まれます。流氷は局地を寒冷に保ち、大気の大きな流れ、気候の形成に深く関わっているのです。

 流氷と海洋の循環 カン入りのオレンジジュースを冷蔵庫で冷やしすぎたことはありませんか。凍らない部分は濃縮ジュースになっています。ジュースのなかの真水の部分だけが凍ったからです。海水が凍るときも同じで、流氷から濃い塩水が排斥されます。この濃い海水はブライン(濃縮塩細胞)と呼ばれます。ブラインは、塩分が濃く、かつ、冷たいので密度が大きく、海中深く沈んで深層水となります。
 南極大陸の周りや北極海のグリーンランド沖で生まれた深層水は赤道の方向に向かって移動します。これが深層流です。深層流は冷たい水(マイナスの熱)と塩分を極地から赤道へ運び、これに代わって、熱帯の温かい表層の海水が極地へ向かいます。
 海水の動きは、大気の動きに比べゆるやかですが、大量の熱を含むことができるので気候形成に大きな影響を与えます。

3.海の資源を育てる凍る海
 植物プランクトンは光合成によって増殖します。海の生物の餌のもとは、珪藻類を中心とする植物プランクトンで、この量の多少が海洋の生産力を決定します。
 流氷を切り出してみると、しばしば茶褐色をした着色層と呼ばれる部分が見られます。これは氷の中に珪藻類(アイス・アルジー)が住んでいるためです。アイス・アルジーは、春になると爆発的に増殖し豊かな海を作り出すのです。
 この植物プランクトンを餌にして、小さなエビ、アミなどの動物プランクトンが生きています。さらに小魚、カニ、貝類がこれらのプランクトン類を餌にし、小さい魚類は大きな回遊魚の餌になります。こうして海の食物連鎖が作られていきます。
 氷の下は、植物プランクトンのいい住みかなのです。世界のすべての好漁場が凍る海に隣接していることに見られるように、凍る海は人類の海洋水産資源にも大きな関わりをもっているのです。
 流氷は、地球の気候形成、食物資源に関わっているのです。
 流氷、それは海からの素晴らしい贈りものです。



青田教授がパブジーンで流氷の情報を提供中です。パブジーンはインターネットの雑誌です。
インターネットのhttp://www.pubzine.com/を開きIDナンバー1515で「流氷−海からの素晴らしい贈りもの」をぜひご一読ください。
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筆者紹介
青田 昌秋(あおた まさあき)氏
昭和13年9月22日  長崎県生れ(60歳)
昭和38年 北海道大学理学部地球物理学科卒業
昭和40年 北海道大学理学部物理学科学士卒業
昭和50年 北海道大学低温科学研究所助教授
昭和58年 北海道大学低温科学研究所教授・流氷研究施設長(現在に至る)

授賞関係
昭和50年 NHK放送文化協力賞受賞
昭和52年 産経新聞オーシャンスカラシップ受賞
平成8年 北海道新聞 文化賞(科学技術部門)受賞

著 書
「海洋大辞典」東京堂(共著)
「気候気象学辞典」二宮書店(共著)
「雪の話、氷の話」丸善書店(共著)
「白い海、凍る海」東海大学出版会(単著)
「雪氷水文現象」古今書院(共著)


カネヒロニュース/2月号
PH
2月14日
海面が全て流氷に埋めつくされました。

 今年の根室の冬は例年に比べ、降雪量が多く、雪かきをする機会も多くなっています。この時期、話題の流氷ですが、現在、紋別や網走といった流氷観光で有名なオホーツク海沿岸には接岸しており、既に知床半島を南下し、根室海峡まで姿を見せています。1月下旬には根室でも流氷初日を迎えており、厳寒期のまっただ中といった状況です。
 冬漁の中心となるスケソウタラ漁は最高級の原卵を期待できるはえ縄漁が1月末で終了しており、2月以降は刺し網漁やロシア200海里内の北転船による底曳網漁が操業されています。これからは卵巣の成熟が進み、からし明太子の原料に適した水子になります。前浜では3月末頃まで、北転船は4月頃までが漁期となっており、限られた原料の確保に取扱い業者は水揚げに期待を寄せています。また1月末には道東の水産業の大黒柱的存在で北洋さけ・ます船団を束ねていた“全鮭連”の解散など根室の漁業を取り巻く環境は厳しさを増しています。

カネヒロニュース「つり情報」
 北海道の2月は、1年を通して、釣魚として数えあげられる魚種が最も少なく、道内の釣りを紹介している釣り番組さえ、お手上げの状況です。
 この時期、ルアーやフライを使用して釣りができるのは、河口に隣接する海岸や漁港でのアメマス釣りのみで道南の日本海側では“海アメ”と称されブームとなっています。その魅力は、大海原でのロングキャストにあり、回遊に当たれば比較的コンスタントに釣果が得られるようです。
 道東の太平洋側では現在の所、安定して釣果が得られるポイントの開拓があまり進んでおらず、釧路の極一部の釣人が、釣具店と共に積極的にポイント開拓を行っています。その結果、根室周辺にも数ヶ所、海アメ釣りができるポイントが発掘され、熱狂的なマニアが厳寒の海辺で竿を振る姿が見られます。主に使用されるルアーは28g〜35g程度のメタルジグで、10ft前後のスピニングタックルがメインとなります。
 北海道を代表する天然種のイワナ“アメマス”は1年を通じて釣魚として扱われるようになり、その時期時期の生態や摂餌行動等も研究され、北海道の釣りに新しい風を吹き込んでいます。
2003.2.7

カネヒロニュース/1月号
PH
1月10日撮影

 根室の2003年は、本土最東端の納沙布岬から初日の出を拝むことができ、穏やかな年明けとなりました。しかし、水産業界を取り巻く環境は依然厳しい状況です。今、話題の北朝鮮など世界情勢が揺らいでいる中、その北朝鮮と比較的国交が盛んなロシアの海域で日本漁船による安全操業が行われています。
 ロシア200海里内での大型船によるマダラ漁がようやく解禁され、根室・花咲港から各船が出港しており、数日後の水揚げが期待されています。また羅臼でもロシア200海里内におけるスケソウダラの操業が解禁されています。海外の大型トロール船による乱獲で年々資源が減少しているだけに前浜物としてのたら子の価格は高値に推移することが予想されています。海外からの冷凍卵が主流の現在、市場におけるたら子の価格帯は比較的安値の状況にあります。前浜物を扱う業者は価格競争に大きな課題を残すことは必至であり、味・品質等に重視した製品を生産することにより生き残りをかけています。

カネヒロニュース「つり情報」
 例年通り、昨年の12月下旬から河川や湖沼は結氷し始め、北海道における冬の釣りの代表である氷上のワカサギ釣りが道東の各地でシーズンインしています。道東で有名な網走湖や阿寒湖などでは、連日、良い釣果が伝えられている中、根室の代表的なワカサギ釣場としての風蓮湖では例年にない程の釣果不振が続いており、異例の年となっています。また、釣れれば殆どが大型でこれまた今までに例のないことです。漁協による放流は例年通り行われているようであり、主な原因としては、風蓮川中・下流域の水質汚染が挙げられています。冬期間は比較的水質は良くなるものの、年々放牧による牛のし尿・糞等が原因で富栄養化状態が進んでおり、風蓮湖を取り巻く環境は悪化し続けているようです。魚類だけでなく、水生植物等の成育にも影響していることが根室市の水産課による調査で明らかになっており、生態系に及んでいる悪影響は比較的大きいと考えられています。
2003.1.10

2003年 新春
明けましておめでとうございます
本年もカネヒロのホームページへのアクセス、誠にありがとうございます。
皆様には新年を迎えてますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

私どもカネヒロは従業員一同、根室の海でとれる新鮮な素材を安全・安心な食品として皆様の食卓へお届けできるよう、これからも精一杯努めてまいります。

本年もご愛顧賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2003.1.10

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